作家たちが残した、パリについての「断章」
パリを題材にした小説やエッセー、ノンフィクションなどから、パリについて思いをはせたり、パリでの暮らしだったり、主人公が感じたパリというもの、などなど・・。
図書館や書棚の奥から引っ張り出してきた名著の中から、心に残るフレーズを見つけました。
「パリの裏街」石井好子
“Pari no Uramachi(Back alley of Paris)” Yoshiko Ishii
フジタ
ステージで歌っている時 三人づれの客が入ってきた フジタ先生 !
私は歌いながら 先生をみて ニヤッと笑った 先生も手を振りながら席についた
楽屋にあがる階段で 踊子たちは「フジタね」
「好子 フジタを知ってるの?」ときいた
総理大臣がきたって 映画俳優がきたって
日本でどんな有名な人がきたって
パリの人は名もしらないし顔もしらない
~石井好子「パリの裏街」から
◆石井好子(Yoshiko Ishii 1922/大正11 – 2010/平成22)シャンソン歌手、エッセイスト。日本にシャンソン文化を根付かせたシャンソン界の第一人者。 1951年(昭和26年)パリへ渡り、シャンソンの名門店でデビュー。実力が認められ1953年からモンマルトルのキャバレー「ナチュリスト」のレビューの主役として1年間出演した。そのころの様子はエッセイ「女ひとりの巴里ぐらし」に詳しい。
「パリの裏街」は清川泰次との共著。1958年刊(700部限定)
コメント