作家たちが残した、パリについての「断章」
パリを題材にした小説やエッセー、ノンフィクションなどから、パリについて思いをはせたり、パリでの暮らしだったり、主人公が感じたパリというもの、などなど・・。
図書館や書棚の奥から引っ張り出してきた名著の中から、心に残るフレーズを見つけました。
「さびしい宝石」パトリック・モディアノ
“La Petite Bijou” Patrick Modiano
ここに住みはじめたころ、階段でへんな匂いがするのが気になった。赤いカーペットが臭っていて、ゆっくりと腐っているにちがいなかった。ところどころ、木製の階段がむきだしになっている部分もあった。この建物がホテルだったころ、大勢の人たちがこの階段を上り下りしたのだ・・・・・・。
表門を入ると、すぐ急な階段があった。ママンがむかし、このホテルに住んでいたことは知っていた。
~パトリック・モディアノ「さびしい宝石」から
◆パトリック・モディアノ(Patrick Modiano 1945/昭和20~)フランスの作家。2014年ノーベル文学賞を受賞。2015年1月にレジオンドヌール勲章贈られた際、 フランソワ・オランド大統領は「モディアネスク (modianesque)」と表される 彼の作風を「現実が消えてしまう状況、過去と現在が交錯する状況、言葉が信じられなくなる状況」と定義した。
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