「巴里の手紙 リルケ書簡集 1 」リルケ

作家たちが残した、パリについての「断章」

パリを題材にした小説やエッセー、ノンフィクションなどから、パリについて思いをはせたり、パリでの暮らしだったり、主人公が感じたパリというもの、などなど・・。
図書館や書棚の奥から引っ張り出してきた名著の中から、心に残るフレーズを見つけました。

 

「巴里の手紙 リルケ書簡集 1 」リルケ
“Briefe aus den Jahren 1902 bis 1906” Rainer Maria Rilke

近頃の午後は美しいことが多い。すこし曇つてゐて、いかにもしっとりとしてゐる。そのうちに物柔かな調子で夕暮れてゆく。時がその歩みをとめてしまふ一瞬がある、と 言ふことも出来よう。 もはや時の歩みが少しも感じられず、時間は何かあるの廣い背にの つたまま運ばれてゆく。さうやつて時間はぢつとしたままである。ただその下に何か大きな もの、暗いものがあつて、それが歩み、 過ぎ行き、時間をも共に運び去るのだ。
~リルケ「巴里の手紙 リルケ書簡集」から

フランセーズ通り、パリ2区

 
◆ライナー・マリア・リルケ(Rainer Maria Rilke 1875/明治8 – 1926/大正15)
オーストリアの詩人。1902年「ロダン論」執筆のためパリに移る。 この時期の暮らしぶりをもとに後の1910年「マルテの手記」完成させた。「巴里の手紙」はこの頃、親交を深めていた彫刻家のロダンや妻に宛てた手紙をまとめたもの。
「巴里の手紙 リルケ書簡集 1 」は1950年、「Briefe aus den Jahren 1902 bis 1906」(1930年)などをもとに養徳社から発行された「リルケ書簡集 全5巻」の内の一冊。

リルケ「巴里の手紙 リルケ書簡集 1」から

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